「身につければ効果的だが、それを習慣にするのは難しい。」
こうしたものは世の中にたくさんあるが、私はその一つとして、「タスクシュート」というタスク管理術を挙げたいと思う。
何を隠そう、私はタスクシュートを習慣化するのに9回も失敗している。どれだけ意志力が弱いんだよ、と自分でもあきれるが、事実なのだからしょうがない。それでもチャレンジし続けるのは、それだけタスクシュートが私にとって魅力的なツールだということなのだろう。
本日は、私が9回挫折している「タスクシュート」というタスク管理術の概要を簡単に紹介した上で、今度こそ、「10度目の正直」としてタスクシュートを習慣化するために、現在実践している方策を紹介してみたい。
まだまだ実践途中であり、現時点では完全に習慣化できているわけではない(まもなく2か月がたとうとしているくらい)が、習慣化するまでの試行錯誤の段階だからこそ、書けることもあるだろう。
「タスクシュート」に興味があるという方や、試してみたけれど挫折して諦めた、という方に読んでいただければ幸いだ。
個人的に挫折率ナンバーワンのタスク管理術
タスクシュートとは
そもそも、タスクシュートとは何だろうか。
タスクシュートとは、「シゴタノ!」の大橋悦夫さんが提唱したタスク管理(あるいは時間管理)の考え方のことだ。今日やるべきことをすべてリストアップし、実行時間を見積もっておいてから、実際にかかった実績時間を記録していく、という手順でタスクを消化していく。時間の見積もりと実績の記録を行うことがポイントだ。
このタスクシュートの実践によって、時間を強力に意識できるというメリットがあると言われている。
例えば、タスクの見積もり時間をすべて足し上げることで、まるでカーナビの到着予定時間のように、今日のやるべきことは一体何時に終わりそうなのか、という時間の目安がわかる。逆に、いろいろやろうとしたけれど、普段やっていることをこなしているだけで今日一日が終わってしまって、意外と時間がないという現実もわかる。
また、かかる時間を見積もってから仕事に取りかかるので、ダラダラと脱線することが少なくなってタスクに集中できる。実績時間のログから、自分はどんなことに時間を割いているのか分析を行い、限りある時間の使い方を改善することもできる。
多くの人が絶賛するタスク・時間管理術
これまで見てきたように、タスクシュートは単なるタスク管理にとどまらず、時間管理とも深く密接に関わる、画期的なタスク管理方法だ。そのため、しっかりとタスクシュートの考え方を理解し、実践していけば、確実に生活は向上するだろうと思う。
事実、タスクシュートにはファンが多い。タスクシュートについて書かれたインターネットや書籍を見れば、「タスクシュートによって人生が変わった」「仕事ができなかった私を助けてくれた」「タスクシュートは素晴らしい!」といった賛美の言葉ばかりがたくさん並ぶ。仮にこれがタスクシュートではなく、サプリメントや育毛剤の口コミだったとしたら、明らかにステマ認定するレベルの異常な持ち上げっぷりだ。
最初は「なんかめんどくさそうだなー」と思って敬遠していたが、これだけ多くの人が絶賛するとなれば、きっと素晴らしいものに違いないという思いが日に日に大きくなっていった。そんなわけで、私も先人に見習って、タスクシュートに挑戦してみることにしたというわけだ。
続かなかったタスクシュート
……しかし、私はタスクシュートがまったく続かなかった。
タスクシュート式のタスク管理術を実現するための公式ツールとしては、Excel版TaskChute、iPhoneアプリのたすくま、そしてWebブラウザで動くタスクシュートクラウドの3つがある。私はそれらにそれぞれ3回チャレンジし、全部挫折した。
つまり、合計9回の挫折だ。
タスクシュート恐るべし。これほど大変なタスク管理方法がほかにあるだろうか。いやない。
タスクシュートを絶賛している人たちは、自分と比べて知力、意志力、継続力、その他もろもろの能力が高いのだろう……と何度も思った。
記録をするのが最高に面倒
なぜ、私はタスクシュートを挫折してしまうのだろうか。
その原因のうち大部分を占めているのは、タスクを開始したり終了したりする度に、いちいちボタンを押して記録をしなければならないことだと思う。最初は頑張るが、たびたび忘れてしまうことが増え、「しまった、記録し忘れた!」が何回か続いたところで、最後は「もういいや、面倒だし」となる。
思えば、私はタスクシュートに限らず、時間計測をするためのアプリやサービスも、みんな続かなかった。Togglとか、Timelyとか、aTimeLoggerとか、そういう時間を記録するためのスマホアプリやApple Watchアプリをいろいろ探して試してみたが、結局やめてしまった。
たった1回ボタンを押すだけの行為とはいえ、何か行動を開始・終了するたびに、スマホを取り出してロックを解除して、アプリを立ち上げてボタンを押す、という行為が何度も続くと、やっぱり大変なのだ。
タスクシュートは、単なる時間計測に加えて、タスク管理までセットで行わなければならない。単なる時間計測アプリよりも考えることが多いのだから、それではなおさら続かないよな、と思う。
挫折した要因をもとに、改善点を考える
そんな感じで、個人的には挫折率ナンバーワンのタスク管理術であるタスクシュートだが、やっぱりこれを習得したい、という欲求が定期的に訪れる。
そしてその欲求が訪れて10回目。いいかげん、本気になってタスクシュートにチャレンジしてみようと思った。とにかく、今までと同じように、ただなんとなく行うだけでは、また同じように挫折をするだけだろう。
だから、今回はいきなりタスクシュートを始めるのではなく、まずは今まで挫折した要因と対策をしっかり考えてから、続けることを第一に考えて実践してみることにした。
その結果、まだ始めて2か月たたないくらいではあるが、今のところは問題なく続けることができている。たった2か月ではあるが、これでも歴代最長記録を更新中であり、多少は参考にしていただける部分もあるのではないかと思っている。特にタスクシュートを挫折してしまっている人に読んでいただければ幸いだ。
なお、今回はタスクシュートを実践するために、iPhoneで使える「たすくま」というアプリを使用している。改めて一通り試してみた中で、私の挫折要因を改善するには、「たすくま」が一番よさそうだったからだ。
その辺の選定理由も絡めて、以下に私が実践している、タスクシュートを習慣化するための方策を紹介していこう。
記録のハードルを極限まで下げる
常に身につけているApple Watchの活用
とにかく挫折する一番の要因は、先に述べたように、記録がめんどくさくなって続かない、ということだ。だから、とにかく記録のハードルを下げることを、何よりも最優先で取り組むべきだと考えた。
そこで活用したのが、Apple Watchだ。(充電の時以外は)どんなときでも身につけているため、いちいち「取り出してロックを解除する」とか、「パソコンの前に座ってマウスを触る」とかしなくてもいい。この1点において、iPhoneとApple Watchのアプリがある「たすくま」は、非常に素晴らしい。
ここで、Apple Watchの性能も重要だ。私はずっと初代Apple Watchを使っていたため、壊滅的に動作が遅くてアプリを常用する気にはなれなかった。そこで、(別にたすくまのためではなかったのだけど)最新のApple Watch Series 5を導入して、動作速度に関してストレスのない環境を作った。
記録をするための動作は最小限となるようにする
単にApple Watchを導入するだけでは、記録のハードルを極限まで下げたとは言いがたい。さらに記録を簡単にする工夫が必要だ。まず、たすくまを簡単に起動できるように、時計画面のコンプリケーションにたすくまを置く。これにより、ホームボタンやサイドボタンを押さなくても、時計画面からワンタップでたすくまを起動できるようになる。
そして、基本的にはそのまま時計画面には戻らず、常にたすくまアプリを開いておく。これで、腕を上げるだけでたすくまを操作できる環境ができる。
標準状態では、アプリを立ち上げたまま一定時間がたつと時計画面に戻ってしまうので、Apple Watchの設定を変更1
して、ホームボタンを押さない限り時計画面に戻らない設定にしている。
また、Apple Watch版のたすくまでは、一覧画面から右にスワイプをするだけでタスクの開始と終了を行うことができる2
。いくらApple Watchで簡単に操作できるといっても、画面が小さいので何回もタップするのは面倒だ。このスワイプ操作は必ず覚えた方がいい。
これで、記録をするときは「腕を持ち上げて、項目をスワイプする」というだけで完了するようになった。これは非常に素晴らしい。
また、タスクの開始時刻となった場合や、実行中タスクの見積もり時間を超過した場合には、Apple Watchに通知がくるようになっている。そしてその画面から、タスクを開始・終了することもできる。
まだしっかり習慣化ができていない段階では、ついついタスクシュートを実行しているということを忘れてしまうものだ。これなら、Apple Watchの通知によって記録の継続をサポートしてくれる。
Apple Watchでタスクシュートを実現できるのは、(現状では)たすくまだけだ。この状況が変わらない限りは、これからもずっとたすくまを使い続けるだろう。
ありのままの記録から始める
続いての方策は、「ありのままの記録から始める」ということ。
私がタスクシュートを始めるときは、たいてい「仕事をより効率的にこなしたい」「生活習慣を改善したい」といったことが動機となることが多い。
だから、タスクシュートのタスクリストを作るときには、「英語の勉強をする」とか、「読書の時間をとる」とか、そういう自分にとって望ましい習慣をついつい記入してしまう。そしてその結果、挫折するということを繰り返してきた。
もちろんそれで続くのであればよいが、よほど強い意志力があると自負している人以外は、この方法はやめた方がよさそうだ。
タスクシュートを始めたばかりのときは、それを習慣化することに全力を注いだ方がよく、いままでにない習慣を取り入れるのはおすすめできない。「タスクシュートを身につける」ことと、例えば「英語の勉強をする」ということは、別々に考えた方がよい。
あくまでも、身につけたい習慣は、ひとつひとつ取り組む、ということだ。
「意志力」について書かれた書籍『WILLPOWER 意志力の科学』でも、自己改善の目標は、一つに絞って行うことを勧めている。
意志力は有限であり、「タスクシュートを使う」といういつもとは違うことをするだけでも、それなりに意志力を消耗してしまう。この上、さらに別のことを行えば、意志力は底をついてしまう。結果、挫折へとつながるというわけだ。
そんなわけで、とにかく最初は、ありのままの自分の姿を記録することから始めよう。
少なくとも初日から数日間は、断ち切りたい悪い習慣も含めて、いつも通りの習慣をそのまま実行し、記録すべきだ。
習慣の波に乗って楽をする
リピートの活用
とはいえ、ありのままの習慣の記録だって、毎日行うとなると大変だ。何しろ、「○○をする」というタスクを数十個も登録しなければならないからだ。
普通のタスク管理では、基本的に「会議の資料を用意する」とか、「○○を買う」とか、何かを達成する上で必要なことのみを管理すればよいので、比較的に管理の負荷は高くない。
しかし、タスクシュートの場合は、とにかく時間をかける(かけた)ところは何でもリストアップする必要があると言われている。つまり、「ごはんを食べる」とか、「通勤する」とか、そういう普通のタスク管理では考えないようなものまで、数多くのタスクを管理しなければならない。それを毎回すべてちまちまと登録するのは大変だ。
そこで、タスクシュートにはリピートタスク(あるいはルーチンタスク)という考え方がある。例えば「ごはんを食べる」「通勤する」といった、定期的に繰り返す必要があるタスクについては、リピート設定を行うことで、次回から自動的に生成してくれるというものだ。
機能自体は珍しいものではないが、タスクシュートこそ、リピート機能を最大限活用したい。
リストの自動生成を目指す
私は以前、「まぁこれは繰り返さないかもしれないし」とか、「この行動は本当は望ましくないから、リピートにしたくないな」みたいに考えて、わりと控えめにしかリピートタスクに登録しなかった。
でもこれではダメだ。とにかく記録を続けるためには、タスク登録の手間を最小限に抑えなければならない。善悪は考えず、迷ったら登録する気持ちで、過剰なくらいリピートタスクに登録していきたい。
これを繰り返していくことで、一日の始まりに何も登録をしなくても、ある程度はやるべきタスクリストが自動で生成されるようになってくる。あとはこのリストに従って行動していくだけだ。こうなれば、断然タスクシュートが続けやすくなる。
もちろん、毎日繰り返してはいるが、今日だけはやらない、ということだってあるだろう。その場合は、単にタスクを削除してしまえばいい。新規で登録するより、削除をする方がずっと簡単だ。
たすくまであれば、とにかく新しいタスクを完了させると、そのタスクをリピートとして登録するかどうかの確認画面が表示される。さらに、実績時間をもとに、見積もり時間まで提案してくれる。これは、たすくまの利点のひとつだと思う。
とにかく最初のうちは、どんな些細なことでも、月に1回であっても、複数回繰り返すのであればリピートとして登録しよう。
最初はプライベートに特化する
これは、上記のリピートという部分に関連してくる。
そもそも私がタスクシュートを始めたのは、どちらかというと仕事に役立ちそうだから、という理由であって、プライベートに活用するというのは二の次だった。だから、挫折した9回のうちのほとんどは、仕事を中心にタスクシュートにチャレンジしていた。
ただ、私の仕事の場合、わかりやすいリピートタスクというものがあまり現れない。そうなると、先の「リピートタスクをたくさん登録する」ということを実現しにくくなってしまう。
もちろんこれは仕事によるが、とにかく習慣化する段階では、わかりやすく単純なリピートタスクが並んだ方が管理がしやすいし、困ったときの具体例もネット上にたくさん転がっている。
仕事は人によって千差万別だが、私生活ではほぼ全ての人が数多くのわかりやすいリピートタスクを抱えている。「朝起きて顔を洗う」「着替える」「身だしなみを整える」「ごはんを食べる」「歯を磨く」「お風呂に入る」といったタスクは、石油王でもサラリーマンでも、大人でも子どもでも、人間である限りはそう大きくは異ならない。
だからこそ、まずはプライベートで使い、リピートタスクをバンバン登録するのがいいのではないかと思っている。
まずは特定の時間のみ使う
私がタスクシュートを続ける上で効果が大きいと思ったのが、「まずは特定の時間のみ使う」という考え方だ。「出勤前の朝の時間だけ使う」「終業後の夜の時間だけ使う」「休日のみ使う」といったように、最初は一部の時間だけでタスクシュートを運用することで、継続のハードルを下げていく。
私としては、平日朝の出勤前の時間から使いはじめることをおすすめしたい。
とにかくこの時間は、(在宅勤務でない限りは)「出社」という明確な区切りがある。タスクシュートなら、すべてのタスクの終了予定時間がリアルタイムで算出されていくので、「出社時間に間に合うのか」ということが一目瞭然でわかるようになる。
例えば、「今日は早起きしたから、もうちょっと朝のコーヒーブレイクの時間をとってもいいな」とか、逆に「今日はゴミ出しがあるから、その分早く準備をしないといけないな」といったことが分単位でわかるようになるのだ。忙しい朝こそ、タスクシュートにぴったりだ。
また、朝の出社前の時間は、やるべきことのルーティーン化がしやすいことから、前述のリピートタスクを活用することで、タスクシュートを実践しやすくなるという利点もある。意志力がたくさん残っている朝だから新しい習慣も取り入れやすいし、それによって気持ちいい一日のスタートを切ることができれば、仕事も気分よく進められるだろう。
慣れてきた段階で、夜も実践してみるとか、休日も実践してみるとか、範囲を広げていけばよい。
ざっくりと時間の大枠を捉える
タスクをどこまで細切れにするか問題
「朝ごはんを食べる」というのは1つのタスクだが、より細かく分けるなら、「みそ汁を作る」「ごはんを炊く」「目玉焼きを焼く」「食事を盛り付ける」「ごはんを食べる」「食器を洗う」「食器を戸棚に片づける」と、いくらでも細分化できる。
タスクをどこまで細分化してリスト化するか、というのは、タスク管理術においてしばしば話題となる。ざっくりしすぎてもイメージがわかず実行しにくくなるし、細かすぎてはキリがない。ちょうどいいあんばいを探らなければならない。
しかし、少なくともタスクシュートの初期段階においては、できる限りざっくりした粒度の大きなタスクとするべきだと思う。なぜなら、タスクを細かく区切っていくほど、開始と終了を行う回数が増加し、記録のハードルが高くなるからだ。Apple Watchのおかげでだいぶ記録は簡単になるが、一手間増えることに変わりはない。
いずれ、時間をもっと細かく、より正確に算出したい、という新しい目的が生まれれば、そのとき初めて粒度を細かくしていけばよい。
続けることを最優先にする
タスクシュートを「時間の家計簿」と呼ぶ人がいる。
タスクシュートを実践することで、自分がどんなことに時間をかけているのかを記録できる。そしてこれを振り返ることで、自分の時間の使い方を意識し、その改善を行うことができる。確かに、家計簿という言葉がピッタリだ。
家計簿は、必ずしも1円単位ですべての支出を細々分析する必要はない。あくまでも家計を改善することを目的に、分析に必要な範囲において、無理なく家計簿を続けることが大切だ。
例えば、月に数万単位でどんどん貯金額が減っている家庭があるとすれば、まずは数か月間、かかった費用を大枠で把握し、改善の方向性を探ることから始めることが重要だ。「食費」はざっくりいくらで、水道光熱費はこのくらいで、住居費はこのくらいで……という具合に、千〜万円単位で記録を行っていく。すると、収入に対して保険料がやたら高いとか、無駄な月額課金サービスをいくつも契約しているとか、飲み会代だけでバカにならない金額を使っている、などの改善の方向性が見えてくる。
その分析結果をもとに、まずは大枠で家計を見直していく方が、インパクトが大きく効率的だ。
家計を改善するからといって、レシートをかき集めて、1円単位ですべての支出金額を分類し、足し上げていくのは大変だ。そして、それによって仮に120円のプリン購入費を削減できることがわかったとしても、明らかに記録の手間が増えるわりに、家計に与えるインパクトは小さい。
もちろん「塵も積もれば山となる」のは事実なので、やるに越したことはないが、それは全体を把握して、大枠で家計を改善してからでも遅くはない。あくまでも家計簿を続けることが大切である。これを意識しないと、大変なわりに一向に家計が改善できず、 続かない。結果、挫折してしまう。
分析に必要なギリギリの粒度でタスクを登録する
話がそれてしまったが、つまりタスクシュートでも同じことが言えるのだ、ということを書きたかった。時間について何も意識せずに過ごしてしまっているのであれば、まずは大枠で自分の過ごし方を把握して、改善の方向性を探ることから始めたい。
「目玉焼きを焼くのに5分32秒かかった」という細かな時間を記録するよりも、「準備や片付けを含め、食事にかかる時間は1時間」「その後のダラダラタイムで30分」くらい大枠で把握すればよい。その上で改善の余地がある時間の枠があれば、はじめてその部分を細切れにして記録していけばいいのだ。
とにかく続けるために、ハードルを下げていこう。
(ただし、ざっくりとした記録だと、見積もりの精度が甘くなりがちになったり、タスク実行のハードルが上がったりなどといったデメリットがある。細かく記録できるのなら、もちろんそれにこしたことはない。)
タスクの分類は無理をしない
プロジェクト・タグ・モードの意義
タスクシュートには、プロジェクトやタグ、モードなど、タスクを分類するための仕組みがいくつか用意されている。
私はわりと整理が好きなので、こうしたものを積極的に使ってタスクを分類しがちだった。しっかりと分類した方が、そのタスクの種類や属性が一目でわかって実行の手助けになるだろうし、後から細かな分析もしやすくなるだろうと思っていたからだ。
タスクシュートを実現する公式ツールには、プロジェクトの分類をしておくことで、それらの実行時間の合計や、全体に対する割合を算出することが可能だ。
だから、例えば「食事」「掃除」「読書」みたいなプロジェクトを設定しておくことで、それぞれどのくらいの時間実行しているのかがわかるようになっている。「食事は結構時間がかかっているんだな」とか、「全然読書の時間を確保できていないな」とか、そういった自分の時間の使い方が可視化できるので、自分の生活習慣を改善したいという要望にぴったりの機能だろう。
分類は最小限に
ただ、こうした機能は、タスクの登録やメンテナンスが煩雑になるというデメリットがある。
そもそも新しく登録するタスクのすべてにプロジェクトを付与するのは単純に面倒だ。そして付与する際も、いずれのプロジェクトにも該当しなくて困るとか、逆に複数のプロジェクトにまたがってしまうとか、分類に困るタスクも出てくる。
タスクをどう分類するか、という問題も、タスク管理術においてしばしば話題になるテーマだ。「分類する」というのは一見簡単なように見えて、意外と奥が深い。だから、(少なくとも最初のうちは)分類すること自体にとらわれない方が、余計なことに悩まずにすむ。
今回私は、まず「第2領域」という1つのプロジェクトだけを作って運用することにした。もちろんこれは、『7つの習慣』で紹介されている「緊急ではないが、重要であること」を行う時間のことを指している。
自分にとって大切だと考える「第2領域」のタスクのみにこのプロジェクトを付与して、それ以外のタスクは何も分類しないことにした。以前の私なら、「第2領域」を分類するなら、同じように「第1領域」「第3領域」「第4領域」もプロジェクトを作って分類していたと思うが、それはしなかった。「このタスクは第1領域かな、それとも第3領域かな」といった分類にこだわることは、本質的なことではないからだ。
このくらい割り切ってしまえば、タスク管理の手間はかなり軽減される。
まとめ
手を抜いて気軽に使う
この記事で紹介した方策をすべてまとめよう。
- Apple Watchを活用して、記録を簡単に。
- ありのままの記録から始めて、生活習慣の改善を同時に行わない。
- プライベートに特化して習慣の波に乗り、リピートを最大限に活用する。
- まずは使う時間を限定し、いきなりすべての時間で活用しようとしない。
- ざっくり時間を大枠で捉え、タスクを細切れにしない。
- プロジェクトなどのタスクの分類は最小限に、目的をもって行う。
そのほか、この記事には書かなかったが、記録していない空白時間があっても気にしないとか、セクション(タスクを実行する時間割のような区切りのこと)もざっくりとした区切りにするとか、開始時間の設定は大切なタスクのみに設定して多用しないようにするとか、こまごまとした工夫もある。
いずれにしても、「とにかくあらゆるところで手を抜いて、気軽に使ってみよう」というのが大切だと思う。
タスクシュートを行う目的を考える
ただし 、この記事にはもっとも重要なことが抜けている。それは、タスクシュートを何のために使うのか、という部分だ。生活習慣を改善したいとか、仕事を定時に終わらせたいとか、朝活をはじめたいとか、人によってこの部分は様々だろう。
いずれにしても、まずは目的があり、それを実現する手段のひとつとしてタスクシュートが存在する。だから、いくらタスクシュートが続いたとしても、目的に合わない使い方をなんとなく続けているだけでは、意味がない。
大切にすべき部分を知らなければ、手を抜いていい部分もわからないのだ。
だから、この記事に書かれた方策を実施する前に、ある程度タスクシュートとは何なのかを理解して、自分にとって何が大切なのかを考えてから取り組んだ方がよいだろう。
私は今回、タスクシュートの原典といわれる『なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?』を読んでから、取り組むことにした。
ネット上にもタスクシュートに関する記事はたくさんあるが、やはり体系的・網羅的に書かれている書籍を読むのがいちばん効率がよく、手っ取り早い。
もし、この記事を読んでいただいた方で、書籍を読んでいない方がいらっしゃれば、こちらも合わせて読むとよいだろう。
長くなってしまったが、この記事がタスクシュートがなかなか続けられない方に少しでも参考になれば幸いだ。
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