私は現在、Apple Musicの3か月無料トライアルを試しているところです。実際に課金するかどうかはまだ決めていませんが、少なくともApple Musicのおかげでかなり音楽が身近になり、音楽の視聴時間が増えました。
Apple Musicを音楽以外の部分で活用するような使い方もできて、無料トライアル期間中ながらも、大変満足しています。
しかし、気になることもあります。それは、歌詞の表示方法です。
基本的にはこの方法で歌詞を見ていますが、Apple Musicの楽曲の中には、そもそも歌詞が登録されていないものもあります。こうした楽曲では、歌詞が表示されません。
また、Apple Music以外の音楽配信サービスの中には、歌詞を表示した上で、曲に合わせて自動でスクロールしてくれる機能をもつアプリを提供しているところもあります。そうしたものと比較してしまうと、iPhone純正の音楽アプリの歌詞表示方法は、貧弱に感じます。
そこで、今回は、以下の条件で歌詞を表示できるアプリを探してみました。
- 歌詞が設定されていない(iPhone純正の音楽アプリで歌詞が表示されない)楽曲でも、インターネットを通じて検索して、歌詞を表示できること。
- 単なる歌詞表示アプリではなく、最低限、曲に合わせて自動でスクロールしてくれること。
- iPhone純正の音楽アプリで、現在再生中の楽曲の歌詞を表示できること。また、Apple Musicにも対応していること。
いろいろな歌詞表示アプリを比較した上で、おすすめのアプリを3つに絞りましたので、ご紹介します。
邦楽なら断然これ!「カシレボ!」(※配信終了)
(2020/12/09 追記)
「カシレボ!」については、サービスが終了したようです。
(追記ここまで)
カラオケの歌詞表示が秀逸
「カシレボ!」は、カラオケのJOYSOUNDが提供するアプリです。JOYSOUNDが提供するアプリというだけあって、曲にあわせて色が変わる、カラオケのような歌詞表示ができる機能がついています。音楽を再生した状態で「カシレボ!」を起動し、「LyricSync」というタブをタップすると、以下のようなカラオケ表示ができます。
最初にこの歌詞表示をみたときは感動しました。本当にカラオケのように、曲に合わせて歌詞の色が変わるからです。
縦画面では広告が表示されたり、ナビゲーションのためのボタンがいくつも表示されてごちゃごちゃしている印象はありますが、横画面にすると、歌詞が全画面で表示され、スッキリします。
横画面だと、本当のカラオケみたいですね。
メジャーな曲であれば、ほとんどカラオケ表示に対応していますが、一部、非対応の曲もあります。その場合は、通常の歌詞カードと同じように表示されます。
デュエット曲の歌い分けにも対応
また、「カシレボ!」では、デュエット曲の歌い分け表示にも対応しています。カラオケと同じように、パート別に色分けされるわけですね。
こうした部分までしっかり対応しているのは、さすがです。他の歌詞表示サービスにはない特長だと思います。
歌詞の読みがながあるのもグッド
歌詞の読みがな(ふりがな)があるのもいいですね。邦楽の中には、「本気」と書いて「マジ」と読む的な、特別な読み方をする歌詞がよくありますよね。そういった歌詞は、漢字だけ書かれていても読めませんが、読みがな(ふりがな)があれば、正しい読み方がわかります。
カラオケのJOYSOUNDが提供できるアプリだからこそ、実現できる機能といえるでしょう。
邦楽は幅広く収録する一方、洋楽は微妙
「カシレボ!」の対応曲について、邦楽に関しての曲揃えは充実している一方、洋楽に関しては厳しい印象です。例えば洋楽を再生した状態で「カシレボ!」を起動してみると、残念ながら歌詞はヒットしませんでした。
こういう場合は、「歌詞をWebで検索」ボタンを押すことで、歌詞をブラウザで検索することもできます。
しかし、洋楽なら洋楽で、別アプリを使用した方がよいでしょう。おすすめは、「Musixmatch」です。
洋楽ならダントツの「Musixmatch」
広告なしのすっきりした見た目
こちらが、「Musixmatch」の再生画面です。無料でありながら広告表示がありません。見た目も、最低限のボタンのみが表示されて、歌詞が目立つように大きく表示されています。こちらは「カシレポ!」のようなカラオケ表示にはなりませんが、曲に合わせて歌詞が自動で切り替わります。
1フレーズごとではなく、一覧表示させたい場合は、右下の「全て表示」をタップします。
すると、このように歌詞が一覧で表示されます。この画面でも、曲に合わせて自動でスクロールされます。
また、iOSの写真アプリなどと同じように、操作ボタンが表示された状態で、中央付近をタップすると、歌詞が全画面で表示されます。
もちろん、この状態で横画面にすることも可能です。「カシレポ!」のようなカラオケ表示ではうるさすぎるという方は、こちらの方がシンプルで好みかもしれませんね。
洋楽の曲揃えはダントツ、しかし検索に難あり
洋楽に弱い「カシレポ!」とは違い、「Musixmatch」では多くの洋楽の歌詞がヒットします。私はあまり洋楽に詳しくないため、マイナーな曲の充実度はわかりませんが、少なくとも今回ご紹介しているほかの2つのアプリではヒットしない洋楽も、「Musixmatch」では必ずヒットしていました。洋楽の曲揃えは、3つのアプリの中ではダントツです。
しかし、検索に難があります。アーティストや曲名がカタカナ表記になっている場合、ヒットしないことがあるのです。例えばApple Musicで「コールドプレイ」を再生しても、「Musixmatch」では歌詞がヒットしません。
もちろん、この楽曲の歌詞は「Musixmatch」に存在します。試しに、アーティスト名を英語表記にして検索してみると……。
しっかりヒットすることがわかります。
この辺は残念ですね。自分でiTunesのライブラリを管理していれば、アーティスト名を英語表記しておけばいいのですが、Apple Musicの場合はそうもいきません。その場合は、後述する「プチリリ」を使うとよいでしょう。
ちなみに、邦楽に関しては、今回紹介した3つのアプリの中ではダントツに対応曲が少ないです。邦楽メインで使うなら、ほかのアプリを使った方がよいでしょう。
歌詞の翻訳機能があるのがグッド
洋楽を聴く際、「Musixmatch」がいいと思う最大の理由は、この歌詞の翻訳機能です。
洋楽って、その言語に堪能でない限り、歌詞だけをみても意味がわかりませんよね。しかし、この「Musixmatch」であれば、対応楽曲には翻訳機能がついています。このように、英語歌詞のすぐ下に日本語訳が同時に表示されるので、歌詞の意味を理解しながら聴くことができます。
ちなみにこの歌詞は、自動翻訳ではありません。基本的に歌詞を機械翻訳しても使い物にならないので、自然な日本語で表示されるのはありがたいですね。その代わり、メジャーどころでないと、日本語の翻訳歌詞は提供されていません。外国語に堪能な人が日本語訳をアップロードしてくれるのを待ちましょう。笑
Todayウィジェットに対応
「Musixmatch」は、Todayウィジェットに対応しています。通知センターやロック画面で右スワイプすると表示される画面に、歌詞を表示できるということですね。
個人的にはTodayウィジェットをあまり使わないので、この機能は使っていません。ただ、純正の音楽アプリを使っていて、「歌詞を見たい!」と思ったときに、すぐに歌詞を確認できるのは便利かもしれません。
Apple Watch対応
「Musixmatch」は、Apple Watchのアプリも提供されています。iPhoneの「Watch」アプリから、インストールしておくと、Apple Watchからも再生中の歌詞を確認できます。
iPhoneアプリと同様、Apple Watch上でも自動で歌詞がスクロールされます。とても便利なのですが、先に述べたとおり、「Musixmatch」は邦楽の対応曲が少ないという欠点があります。もし、Apple Watchで歌詞を表示したいのなら、「プチリリ」というアプリがおすすめです。
Apple Watchで歌詞を見るなら「プチリリ」
一つのアプリで邦楽と洋楽にバランスよく対応
邦楽に強い「カシレポ!」と、洋楽に強い「Musixmatch」と比較すると、「プチリリ」は邦楽も洋楽もどちらもバランスよく対応している印象です。マイナーな曲でない限りは、このアプリ一つで対応できます。
邦楽も洋楽もどちらも聴くが、いくつもアプリを使いたくない、という方は、「プチリリ」をお使いになるとよいと思います。
見た目が少々ごちゃごちゃしているのが残念
ただ、これは個人的な感想ですが、「プチリリ」は見た目がごちゃごちゃしているのが残念だと感じています。
あまりインターフェイスがiOS的でないのと、若干広告が主張しすぎる感じが残念なんだと思います。ただし、横画面にすることで全画面の歌詞表示に切り替えられるので、その欠点はなくなります。
この全画面表示では、背景に好きな画像を入れてスライドショー表示をできる機能もあるのですが、フォント処理がいまいちで、画像によっては歌詞が見にくくなるためおすすめしません。また、「カシレポ!」と比較すると、パート別の色分けや読みがなの表示がない、というのもいまいちです。
Apple Watch対応
しかし、「プチリリ」のいいところは、Apple Watchアプリがあるということです。iPhoneの「Watch」アプリからインストールしておけば、Apple Watch上でも歌詞を確認できます。
Apple Watch上でも、曲に合わせて自動スクロールされます。Apple Watch上の歌詞表示のさせ方は、「Musixmatch」よりも見やすくて好みです。
なにより、邦楽の対応曲が少ない「Musixmatch」とは違い、邦楽にも洋楽にも幅広く対応している「プチリリ」のサービスをApple Watchで使用できるというのが素晴らしいですね。少なくとも、邦楽の歌詞をApple Watchで見るなら、このアプリがいちばんよいです。
3つのアプリを用途に応じて使い分けるのがよい
iPhoneの歌詞表示アプリとして、「カシレボ!」、「Musixmatch」、「プチリリ」の3つをご紹介しました。
まとめると、
- 歌詞をサクッと見たい場合は、純正の歌詞機能
- 邦楽の歌詞をじっくり楽しみたい場合は、カラオケ表示ができる「カシレボ!」
- 洋楽の場合は、対応楽曲が多く、日本語訳も提供されている「Musixmatch」
- Apple Watchで見たい場合は、「プチリリ」
という使い分けがおすすめです。
今回は歌詞表示に絞って機能をご紹介しましたが、これ以外の機能もたくさんあります。それぞれのアプリの特長から、自分の聴く音楽やシーンに合わせて、それぞれ3つのアプリを使い分けるとよいでしょう。
その際に、この記事がお役に立てば幸いです。
定額聴き放題サービス時代の歌詞カードのあり方
ここから先は、個人的な雑談です。
少し古い記事になってしまいますが、こんな記事を見つけました。
http://www.oricon.co.jp/news/2052012/full/
上記記事によると、近年は音楽をより手軽に聴ける環境が整い、歌詞の内容よりも語感や耳なじみの良さを追求するようになってきているといいます。
音楽の聴き方に関するアンケート調査を取ったところ、最近のリスナーは音楽を選ぶときに「歌詞」よりも「メロディー」「歌声」を重要視していることがわかってきた。
出典:ORICON NEWS(2015年4月24日)
Apple Musicのような定額聴き放題サービスによって、メロディーや歌声を重視する傾向はさらに強まるように思います。お金を出してアルバムを買い、それをじっくり聴くというよりは、さまざまな人気曲をまとめたプレイリストを、手軽に聞き流すスタイルに変わりつつあるからです。
例えば私は、Apple Musicの人気プレイリストを「ながら聴き」することがよくあります。先に紹介した記事中でもあったように、J-POPもアニメソングも洋楽もすべて同じような感覚で流行作品を聴き流します。
そして、こういう聴き方をしているとき、歌詞はほとんど意識しません。お気に入りのアーティストのCDを買ったり借りたりしていたときは、少なくとも一度は歌詞カードを見ながら曲を聴いたものですが、Apple Musicで聞き流すときは、いちいちそんなことはしなくなりました。
ただ一方で、聴いていて気になる歌詞があったり、メロディーを気に入った曲があれば、歌詞をみたいなと思います。洋楽についても、メロディーは好きだけど、本当はどういうことを言っているんだろう、と思うことはあります。
こういうときに、Apple Musicの歌詞の機能には不足を感じます。そもそも歌詞が登録されていない楽曲もありますし、歌詞を表示するのも少し面倒です。これは高望みかもしれませんが、メジャーどころの洋楽くらいは、日本語訳の歌詞がついていると嬉しいなとも思います。
そうした欠点を埋められるのが、今回ご紹介したアプリです。
音楽がデジタル化されたことで、便利で手軽に聴けるようになった一方、歌詞をみる楽しみは少し失われてしまったのでは、と思うことがあります。「この歌詞はどういう意味なんだろう」と歌詞カードを見ながら考えることは、すっかり少なくなってしまいました。
その点で、歌詞が音楽に合わせて同期されたり、Apple Watchを使って気軽に確認できたりするなどの機能は、デジタル化された利点をうまく利用しています。ちょっとおおげさですが、これがデジタル時代の歌詞カードのあり方ではないかと思うんですよね。定額聴き放題サービスの気軽さと同じように、歌詞だってもっと気軽に楽しめたらいいなと思っています。
今回ご紹介した3つのアプリなども活用しながら、かつて歌詞カードをぱらぱらとめくりながら曲を聴いたように、iPhoneやApple Watchで歌詞を見ながら曲を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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